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計測器は、それぞれ微妙ながらズレが生じてしまいます。そしてズレがあるままだと、計測結果に信ぴょう性がなく、また別々の計測器を使って作った部品がうまく噛み合わないということも起こりえます。そのせいで製品の生産が出来なかったり、研究や実験を行った時に国に結果の承認を得られないという事態になります。これを防ぐために、電子計測器やアナログ計測器は校正というものを行って校正値を算出し、その値を元に計測を行って正しい測定結果を出します。一方、計測器に対して使う言葉に検定というものがあります。これも計測器のズレを計測するということを行います。この点、校正と検定は全く同じことをしているように見えます。しかし実際は、校正と検定は同じではありません。では、何が違うのでしょうか。
まず校正ですが、これは標準器と呼ばれるものや、他の計測器とその計測器を比較することで、不確かさ、つまりどれだけ値がずれているかを算出することです。校正には校正証明書とトレーサビリティという二つの証明書類がついてきます。校正証明書とは、その計測器がどの計測器で校正され、どれだけの不確かさがあったかを記したものになります。それに対してトレーサビリティは、その計測器がどの計測器で校正され、その校正の基準となった計測器はどの計測器を基準にして校正され、ということを辿っていき、一番最初は国の標準器で校正されているということが証明される書類です。トレーサビリティがあるということはつまり、その計測器が国の標準器と同じ基準を用いて校正されたということを意味し、校正結果に信ぴょう性が与えられます。
これに対して検定も、同じように不確かさを求めます。しかし検定は、校正結果によって計測器に合否をつけます。ある一定の基準以内の不確かさに収まっている計測器は、検定の合格判定が得られます。検定は計量法という法律に基づいて行われるものであり、これに合格することは国に承認を得られたことになります。そして、検定に合格した計測器でないと、取引や証明に用いることができません。つまり、誰かともののやり取りをする時や、実験結果を国に承認してもらう時には、校正を行うだけでなく、検定も行い、それに合格している必要があるということですわまとめると、校正は計測器の不確かさを求めるためのものですが、校正した計測器を使用するかはユーザーの判断に任されています。それに対して検定は、取引や証明に計測器を使用する時に必要なもので、合格しなければ使ってはいけないことになっているという違いがあります。